『私を殺すとき』

 

帰り道の電車の中

ドアの暗い窓に映った自分を見ていた。

突然私の心がそいつに向かって呟く。

「お前を殺すのなんて簡単だ。

お前はそこにそうしてじっと立っているだけなのだから

ナイフで突いてやればいい。

お前は死ぬ、私は死ねる。

反対に

お前が突然襲い掛かってきて

私を殺してくれてもいい。

私は死ねる。」

私は手を伸ばし、そうしてガラスの窓に触れる。

窓の向こうのあいつには届かず

そしてあいつは同じように手を差し出しただけで

襲い掛かってくることはない。

そこから出て来てよ。

そうでないなら私を殺してよ。

終点でドアが開いて

私はまたいつもの暗い道を歩いている。

立ち寄ったコンビニの自動ドアに目をやれば

あいつが私を見ている。